保育士の勤務先(職場)

保育所(保育園)だけでなく、「児童福祉法に定める児童福祉施設」では、保育士を設置することが義務付けられていますので、保育士の資格を取得し登録すれば、さまざまな場所で必要とされています。
児童福祉施設は現在、以下の12施設ありますが、では具体的に、「児童福祉法に定める児童福祉施設」とはどのような施設なのでしょうか?
児童福祉法に定める児童福祉施設 | |
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■保育所(保育所型認定こども園を含む)
保育所(保育園)は、家庭の事情などによって「保育に欠ける0歳児から就学前の乳幼児」を、保護者の委託を受けて、保護者に代わって保育することを目的とした児童福祉施設です。
保育所型認定こども園は都道府県の認定を受けた、保育所に入所できる基準(保育に欠ける基準)を満たしていなくても子供を預けることができる施設です。
具体的に、保護者が以下のような場合に「保育に欠ける」とされています。
◎自宅外で働いている。
◎自宅内で日常の家事以外の仕事をしている(自営業・内職など)。
◎求職活動をしている。
◎介護、看護が必要な親族がいる。
◎病気、または心身に障害がある。
◎妊娠中、または出産後間がない。
◎災害の復旧に当っている。
保育所等の数(2015年4月現在) | |
保育所の数 | 23,533 |
認定こども園等 | 5,250 |
合計 | 28,783 |
保育所等の利用状況(2015年4月現在) | |
保育所等の定員 | 2,474,554人 |
利用児童数 | 2,330,658人 |
定員充足率 | 約94,2% |
待機児童 | 23,167人 |
保育所の利用状況は上記の通りとなっており、定員充足率は100%を下回っていますが、地域によって待機児童率が高い地域と、低い地域があるため、現実には待機児童が2万人以上いるという結果となっています。
※無認可保育施設(無許可保育所・認証保育所など)は児童福祉施設に該当しません。
■幼保連携型認定こども園
認定こども園とは、認定基準を満たせば都道府県から認定を受けることができる、保育所でも幼稚園でもない施設の事で、認定こども園はいくつかの種類に分類されますが、幼保連携型認定こども園は、幼稚園と保育園、両方の良さを兼ね合わせた施設です。
保育所に入所するには「保育に欠ける事情」が必要となりますが、認定こども園はそのような事情は特に必要なく、待機児童解消のために2006年に制度が開始し、2014年4月現在、全国で1,359の認定こども園、そのうち幼保連携型認定こども園は720あります。
■児童厚生施設
児童厚生施設とは、児童に健全な遊びを与えて、健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とする児童福祉施設のことで、「児童館・児童遊園」のことです。
厚生労働省の調査によると、児童厚生施設は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で4,652の児童館、2,983の児童遊園があるようです。
■児童養護施設
児童養護施設とは、乳児を除いた「保護者のない児童・虐待されている児童・家庭の事情(保護者の病気・拘禁・経済的な理由など)などで養護を要する児童」が入所する児童福祉施設のことで、保育士は児童を擁護し、相談を受けたり、自立支援を行います。
厚生労働省の調査によると、児童養護施設は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で589の施設があり、約28,200人の児童が入所しているようです。
■児童自立支援施設
児童自立支援施設(旧名称は教護院)とは、不良行為をしたり、するおそれのある児童を入所させて、教育、指導することを目的としている児童福祉施設のことで、保育士は入所した児童に対して、必要な指導、育成を行い、その自立を支援します。
厚生労働省の調査によると、児童自立支援施設は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で56の施設があり、約1,300人の児童が入所しているようです。
ちなみに、児童自立支援施設で働く保育士は特に、「児童生活支援員」と呼ばれています。
■児童家庭支援センター
児童家庭支援センターとは、地域の児童の福祉に関するさまざまな問題について、「児童・母子家庭・その他の家庭・地域住民」などからの相談に応じ、必要な助言、指導を行い、あわせて児童相談所、児童福祉施設等との連絡調整、その他厚生労働省令の定める援助を総合的に行うことによって、地域の児童及び家庭の福祉の向上を図ることを目的とする児童福祉施設のことで、基本的に他の児童福祉施設に併設されています。
厚生労働省の調査によると、児童家庭支援センターは2012年(平成24年)3月31日現在、全国で86の施設があようです。
■助産施設
助産施設とは、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由などにより、入院助産を受けることができない妊産婦の方の希望により、助産を受けることができる児童福祉法に基づいて設けられた施設のことです。
厚生労働省の調査によると、助産施設は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で432の施設があようです。
■乳児院
乳児院とは、さまざまな事情(虐待・母親不在、不明、病気など)により家庭で養育を受けることができない「乳児」を、児童相談所の判断により入所させ、生活している児童福祉法に基づいた施設のことで、保育士、看護師、栄養士などは、乳児を養育し、退院後の相談や援助を行います。
従来までは、乳児といえば「0歳~1歳未満」の子供のことでしたが、児童福祉法の改正により、必要がある場合、小学校入学前の児童までを入所させ、養育することが可能となっています。
厚生労働省の調査によると、乳児院は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で130の施設があり、約2,900人の児童が入所しているようです。
■母子生活支援施設
母子生活支援施設(旧名称は母子寮)とは、18歳未満の子どもを養育している母子家庭、またはこれに準ずる事情にある女子が、生活上のいろいろな問題のため子どもの養育が十分にできないときに入所することが出来る児童福祉施設のことで、母子を保護して、自立促進のためにその生活を支援、指導し、退所後も相談、その他の援助を行います。
また現在では、20歳に達するまで引き続き在所することも可能となっています。
厚生労働省の調査によると、母子生活支援施設は2012年(平成24年)3月31日現在、全国で256の施設があり、約3,900世帯が入所しているようです。
■障害児入所施設
障害児入所施設とは、障害児を入所させて支援を行う、福祉型と医療型に分かれる施設です。
■児童発達支援センター
児童発達支援センターとは、発達障害、運動機能障害などの子どもに対し、訓練、指導などを行う施設の事で、保育士だけでなく、言語聴覚士、心理士、理学療法士、保健師などの有資格者が働いています。
■情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)
児童心理治療施設とは、軽度の情緒障害や心理的問題を抱え日常生活に支障をきたしている20歳未満の子供をカウンセリングなどを通じて治療、支援を行い、自立を手助けする児童福祉施設の事です。
児童心理治療施設は2017年4月現在、全国に46施設あります。
保育士は上記のようにさまざまな施設で必要とされている人材ですが、保育士を志す方のほとんどが「保育所(保育園)」での仕事を希望しているのも現実ですね。
また保育士は児童福祉施設以外でも、「ベビーシッター・無認可保育所(認証保育所)」などの民間業者の職場でも必要とされていますので、仕事先の選択肢はさらに広がりますね。
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